珈琲のある情景

第14回 ブレンドについて 
 喫茶店でのコーヒーの注文の際、「ブレンドを下さい。」と言うシーンがよくあると思います。店の方でも「はい、ブレンドひとつ」とオーダーを通します。喫茶店の場合は「ブレンド」は「アメリカン」「ホット」等と並んでコーヒーの代名詞のように使われますが、皆さんはこの「ブレンド」という響きに対してどんなイメージをお持ちでしょうか?ブレンド米等に代表される「混ぜ物」としての印象と、洋酒の「ブレンダー」等から連想する高付加価値品としてのイメージもあることでしょう。コーヒーの場合、「とりあえずブレンド」といった使われ方が多く見られます。喫茶店がコーヒーを飲む場所であると同時に、「空間利用」としての価値が大きいためでしょう。

 コーヒー生豆を焙煎して販売し、喫茶で提供する立場での「ブレンド」は、コーヒーの産地別、銘柄別、例えばブラジル・ブルボン、コロンビア・スプレモ、スマトラ・マンデリンといった単一種類の豆からなるストレートコーヒーに対して、何種類かのコーヒー豆を混ぜ合わせて作ったものです。しかし、単なる混ぜ物とは考えず、大きな必然性を持っています。多くのコーヒー好きの方がストレートコーヒーに対して期待するものは、産地特有の豆の特徴が素直に発揮された味や香りではないでしょうか。私も、例えばモカ・マタリであればその独特な味と香りの個性が最高に発揮されるような条件を求めて焙煎を行います。一方、コーヒーの味と香りを追求していくと、それぞれのコーヒー豆の豊かな個性とは別に、単味を超えた新しい味の創造、言い換えますと「調和のとれた味と香りの創出」に突き当たります。ブレンドは、各種単一品種の豊かな個性を活かしながら、一層嗜好性の高い味と香りを作り出す作業で、焙煎の技術と同様に自家焙煎コーヒー屋の宿命でもあります。当店では、常時15種類以上のストレートコーヒーの他に、現在5種類のブレンドコーヒーを販売し、喫茶で提供しています。ソフトな味、苦味のきいた味、深みとまろやかさが同居した味などがあります。喫茶のお客様が「ブレンド」を注文された場合にも、それぞれの好みをお聞きして、さらにお好みの濃さもお聞きしながらお淹れしています。コーヒー屋の言葉に「ブレンドに始まり、ブレンドに終わる」というのがあります。コーヒーはまさに嗜好品。私の好みも、お客様の好みも千差万別です。

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