珈琲のある情景

第12回 コーヒー豆の焙煎
 焙煎は「ばいせん」と読み、コーヒー生豆を煎ることで「ロースト」とも言います。コーヒーが飲料となるためには、コーヒー生豆?焙煎?粉砕?抽出の過程を経て、はじめてコーヒーとしての「飲み物」になります。味や香りの決め手となるのは先ず「生豆」です。
この生豆の特徴が良くないと、それ以降の工程をどんなに頑張っても良いコーヒーには成りえません。コーヒーの味や香りはこの生豆の特性で6から7割が決まってしまいます。

 しかし、こんなに重要なコーヒー生豆を私たちは作ることは一般には不可能です。前回および前々回にも書きましたが、コーヒー栽培は特定の地域と気象条件が不可欠だからです。ただし、たくさんの国々の種類の中から、それなりの知識と経験で選ぶことは可能です。コーヒー豆の代表であるブラジル産コーヒーひとつを取ってみても、私の手元には約15種類の豆のリストがあります。この中から私が美味しいと思うものを焙煎し味をみて決めます。

では、焙煎は難しいのですか?とよく聞かれることがあります。正直に言って「難しい」と思います。でも、「楽しい」とも思います。これは料理は難しいですか?と言うのに似ています。だれでも、材料と器具と熱源があれば料理はできます。でも、自己満足ではなくて、誰もがおいしいと言ってくれる料理を作ることは難しいものだと思います。

 コーヒーの味で重要な要素は「苦み」と「酸味」です。どんなコーヒーもこの二つの要素が含まれています。一般に酸味を好きと言う人は少ないものですが、その度合いが大きいか小さいかの比率です。
 同じコーヒー生豆を使用しても焙煎によってこの味の比率は大きく変わります。一般に浅煎りにすると酸味が強くでて、深煎りにすると苦みが強く感じられます。さらに、後の工程の粉砕や抽出でも変わります。
 同じ焙煎度でも細挽きにすると苦みが強くなり、荒挽きにするとマイルドな味になります。また湯の温度が高いと苦みが強くなり、低いと酸味傾向の味になります。
 そして、焙煎と粉砕と抽出の工程は複雑に絡み合ってコーヒーの味が決まります。すべての条件がマッチしたときにおいしいコーヒーとなりますが、私は苦みと酸味の要素に加えて「甘味」が引き出せたときに最高のコーヒーが出来たと思っています。この甘味を引き出す焙煎が「難しい」と思うのです。

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