珈琲のある情景

第10回 コーヒー原産地:エチオピア
紅海を挟んでお互いに向かい合っているエチオピアとアラビア(イエメン)は共にコーヒー発祥の地として譲らない関係にあります。コーヒーの語源と言われる説もある「カファ地方」を有するエチオピアとアラビカコーヒーの語源とされるアラビア主張説があります。両国はコーヒー好きの方にはよくご存知のエチオピア・ハラーとモカ・マタリを産出する国として知られています。地図上で見るとエチオピアとイエメンは紅海を挟んで目と鼻の先にあり、コーヒーの伝播経路としても最短の位置関係にあるように思われます。

エチオピアはアフリカ大陸最古の独立国。私が知るエチオピアは、かつてローマと東京オリンピックで2連覇を成し遂げたマラソンのアベベ選手を輩出した国、最近では同じマラソンで活躍するロバ選手の国といったところです。

  この国にはコーヒーにとっては気候と土壌に恵まれた高原地帯にあり、現在も自生する野生のコーヒーの木があると聞きます。この国で有名なハラール地方は、有名な「エチオピア・ハラー」を産出し、形がイエメン産の「モカ・マタリ」に良く似ていることから、「エチオピア・モカ」あるいは「モカ・ハラー」とも呼ばれています。
 ブラジル産と並んでどちらも天日乾燥(サンドライ)される数少ないコーヒー豆で石臼で脱穀されるために生ずる欠け豆の多い点も共通しています。しかし、良く見るとハラーのほうが粒がやや大きく、長径であるためロングベリー(ベリーとは粒状の木の実の意味/ブルーベリー、ラズベリーなど)としてランク付けされ、取引されています。やや深煎りにし、しっかりと欠点豆をハンドピックすると、ハラー独特の芳醇な香りと甘味が出る貴重なコーヒー豆です。

 また、シダモ地方で産出されるコーヒー豆も有名で、特に水洗式(ウォッシュド)の「シダモG2」はヨーロッパでの評価が高く、「コーヒーの貴婦人」の異名を持つ高品質のコーヒー豆です。

 さらに、シダモ地方の北部に位置する標高2000m級の高地、イェルガチェフェ村で栽培される「イェルガチェフェ」があります。この地方では朝晩の寒暖の差が大きいため、いわゆるモカ種らしい小粒のコーヒー豆となりますが、豆の芯までしっかりと焙煎を行うと、雑味のない甘苦みが凝縮された素晴らしい芳香が発揮されます。エチオピアプレミアムコーヒーの中で最も味わいのあるコーヒーといえます。